野の花たち  Vol.01
ヒガンバナ/ゲンノショウコ/ヘクソカズラ/キキョウ/ヒメノボタン/タカサゴユリ/センニンソウ/ノギランオニユリ/ヒメヒオウギズイセン


ヒガンバナ(彼岸花)−Lycoris radiata, Red spider lily− 2007/10/03
ヒガンバナ科
ヒガンバナ(彼岸花)−Lycoris radiata, Red spider lily−
川の岸などに群生しているところが時々あります。初秋の風景の中で、周りとのコントラストをとてもきれいだと思うことがありますが、子どものときからこの花には毒があるから触ってはいけない、といわれてきたので、摘み取ってテーブルに飾ろうか、とは一切思わない花です。

土から芽を出したら、すぐに大きくなります。
このすぐに大きくなるというのが困るのです。
田の畦の周囲に張り巡らせているイノシシ防除のための電気柵の下から、次から次へと芽を出します。
気をつけていないと、電線に触れてしまいます。電線に接触するものがあると、漏電しバッテリーの消耗が激しくなってしまうので注意が必要なのです。
ですから毎日田の周囲を見回って、伸びてきた彼岸花を、鎌でちょんちょん切っていきます。

そんな姿を知らない人が見たら、この花に何か恨みでもあるのか、と思うのではないでしょうか。

ゲンノショウコ(現の証拠)−Geranium nepaiense− 2007/09/25
フウロソウ科
ゲンノショウコ現の証拠)−Geranium nepaiense−
あらゆるところに生える、と言っていいでしょう。今の季節、どこでもみつけられますが、別名「医者いらず」といわれる花であることに気付く人は少ないのではないでしょうか。
服用すればたちどころに効き目が現れることから、「現の証拠」、その効き目に医者も必要のないことから「医者いらず」。

人々は、いつからか自然の薬草に見向きもしないで、町中のドラッグストアで、工業製品としての薬を買うようになったのでしょうか?

ヘクソカズラ(屁糞蔓)−Paederia scandens− 2007/09/15
アカネ科
ヘクソカズラ(屁糞蔓)−Paederia scandens−
オナラくらい臭い花だからこの名前がついたようですが、そんなにたまらないほど臭いとは思いません。
道端の、少し草が茂ったところから蔓を伸ばしてきます。
中心部のワイン色の部分は一見毒々しい色ですが周りの白い部分と非常に調和がとれています。
大輪の花であれば、たぶんきっと人気を博する花ではないかと、その形と色のバランスから思うのです。

キキョウ(桔梗)-Platycodon grandiflorum- 2007/09/10
キキョウ科
キキョウ(桔梗)-Platycodon grandiflorum-
もうすでに花の時期は終わっている頃なのに、桔梗が一輪咲いていました。
道の斜面から茎をろくろ首のように伸ばし、必死で一輪だけ咲いていました。
初夏に咲く桔梗と比べると、少しだけ大輪のような気がしました。

小学生の頃、通学路の道沿いに桔梗がたくさん咲いていました。
ちょうど夏休みに入ろうかという頃です。

紙風船のように膨らんで、花弁を広げる寸前の桔梗を片っ端から手でつぶし、風船を割る要領で花をさなきがら歩きました。

当時は誰もそれを咎めるものはいませんでしたが、大人になった今その話をすると、周りからはまるで環境破壊者のように言われます。

でも片っ端から割って歩いた桔梗が、その後枯れたという記憶もないし、花がちゃんと咲かなかった記憶もありません。
他の、何も悪さをされなかった桔梗と同じように、花を咲かせました。

今でも今にも咲きそうな、膨らんだ桔梗を見ると、手で潰したくなる衝動に駆られ、思わず周りを見回し、手を引っ込めます。

私には、指で押し潰したときの”ポン”という音が、「やっと咲いたよ」という声に聞こえるのです。

ヒメノボタン(姫野牡丹)-Osbeckia chinensia- 2007/09/01
ノボタン科
ヒメノボタン(姫野牡丹)-Osbeckia chinensia-
それまで関心のなかった「野の花」に関心を寄せるようになったのは、20年近く前、この花の存在を知ったからです。
当時国営農地に開発される予定の山野に連れて行ってもらいました。
そこの田の岸に、ヒメノボタンが群生をしていました。
その凛とした花の美しさに、心を引かれました。
時を同じくして新聞で、同じような群生地が開発され、ヒメノボタンが危機に瀕している、絶滅危惧種であることを知ってますますこの花の存在が気になり始めました。
それからこの花の存在を気にかけていると、ヒメノボタンが大量に自生しているこのような地は、非常に貴重(皆無)であることが分かってきました。

でもその地も、3年後に造成され農地となって、今では当時の面影はまったくなく、もちろんヒメノボタン一輪も見ることはできません。

写真の花は、同じ中山間生産組合のMさんがつくっている田の岸に咲いていたものです。この花は中山間地、一般的に「里山」といわれる自然と人間が共存している地で繁殖します。
更に、草刈など適度に人の手が加わらないと絶滅します。自然がいいからという理由で、草木の伸びるままにしていたら、絶えてしまう花なのです。

Mさんは毎年この花の存在を気にしていて、草刈のタイミングにも神経を使っています。
Mさんが田の耕作を止めたら、この花は絶えてしまいます。

人間と自然が適度な距離と関係で共存できているバロメータの花。
それがヒメノボタンです。

ですからこの花が絶滅した地は、人間と自然のバランスが崩れ、人間が自然の領域に進出しすぎた、あるいは、逆に、集落が消滅して人が住まなくなった地、耕作を放棄した地、どちらかであると言えます。

※追記:この花の咲く田の岸は、小学生のときに通学した道にあります。ということは、私は子どものころ、この花を見て学校に通っていたはずですが、その記憶がありません。その当時は、子どもの中でも地域の中でも、話題にもならない当たり前の花だったのではないでしょうか。

タカサゴユリ(高砂百合)-Lilium formosanum- 2007/08/22
ユリ科
タカサゴユリ(高砂百合)-Lilium formosanum-
いまあちこちで盛りです。
花が咲く場所を選びません。
むしろ、荒地やがけや、条件の厳しいところに好んで自生し、花を咲かせているように思います。

そんな姿が好きだ、と言った人がいました。

普通一本の茎には1個か2、3個の花がつきますが、時には、この写真のように、20個以上の花をつける場合があります。

興味にかられて花から茎を辿っていっても、やはり、一本のタカサゴユリでした。

ここに一本だけ、孤高のごとく咲いています。

まるで、”俺の子孫をたくさん残してやるんだ”かのような花の咲き方に、改めてこの花の生命力の強さを感じます。

センニンソウ(仙人草)-Clematis terniflora- 2007/08/06
キンポウゲ科
ボタンヅル(牡丹蔓)-Clematis apiifolia-
田の畦端の草刈をしていると、岸に沿って這うようにツルが延びています。
花はその途中の一部分にしか咲いていませんが、ツル体をよく観察してみると、かなりの長さになります。
樹木性のツル植物なので、木などに絡み付いて成長しています。

この写真は、電柱に絡んで伸びているものでした。電柱を支えている支柱線に絡んで、更に伸びようとしていました。
これから8月末にかけて、花が盛りではないでしょうか。

ノギラン(芒欄)-Metanarthecium luteoviride- 2007/07/22
ユリ科
ノギラン(芒欄)-Metanarthecium luteoviride-
協同で農作業をしている風景を写真にとろうと岸に上がったら、淡いピンク色の花を発見。
思わず持っていた携帯電話のデジカメ機能で撮影をしました。
帰って調べてみましたがなかなか分からず、ネットの有名なサイトでも見つからず、名前を探すのに結構苦労しました。
野の花は、普段は気付かないのに、思わず気付いたとき、これは珍しいと思いますが、気をつけて見れば結構そこらへんに一般的にあったりします。

この花も、みんなで農作業の帰る途中、山肌を見たら、花がいっぱい咲いていました。


オニユリ(鬼百合)‐Lilium lancifolium‐ 2007/07/15
ユリ科
ノギラン(芒欄)-Metanarthecium luteoviride-
梅雨が明けるころ、いっせいに咲き始めます。
梅雨が完全に明けてからではなく、もう明けそうな、そんなタイミングで咲き始めます
小学生のころ、通学路に一面に咲いていました。
ちょうど梅雨が明け、一学期の終了式が終わろうとするころ、この花の脇を学校に通いました。
ですから、この花を見ると、なんとなく「通知表」を思い出します。

田で仕事をしていると時に、クロアゲハが一所懸命蜜を吸いに来ていました。
赤い花と黒い蝶。
人間世界でもよく見られる光景です。
ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)‐Tritonia crocosmaeflora Lemoine‐ 2007/07/10
アヤメ科ヒメヒオウギズイセン(姫檜扇水仙)‐Tritonia crocosmaeflora Lemoine‐

梅雨も後半になるこの時期、いろんなとこで見ることが出来ます。
もともとヨーロッパで交配されて出来た園芸品種で、日本には明治中期に入ってきたということです。
この時期、田の畦や川岸、道沿いなどいたるところで鮮やかなオレンジ色の花が見られます。
当地では松原の中にも大量咲いています。
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